■筑後川下流用水事業のはじまり

筑後川下流域の筑後・佐賀両平野では、古くから農業用水確保の手段として、有明海の干満差を利用したアオ取水及び矢部川・城原川・嘉瀬川等の中小河川に依存していました。
この方法では稲の生育に害のある塩水がまじることがあり、また、必要なときに必要なぶんだけ取るということができないため、稲がかれたりして農家の人たちは大変苦労してきました。
その苦労を少なくするために、筑後川からの新しい水路やクリークを造ったり、農地を整備したりする筑後川下流土地改良事業が行われ、水の取入口や導水路などの施設については、筑後川下流用水事業として水資源開発公団(現独立行政法人水資源機構)が造ることになりました。

■アオ取水による今までのしくみ

海は一日2回、干潮と満潮をくりかえし、高さが変わります。
有明海は海の水面の高さが、大きいときは6mちかくも上がったり下がったりします。
また、筑後川にはたくさんの水が流れていますが、筑後川はまわりの土地より低いところにあるため、いつでも水が取れるわけではありません。 海の水面の高さが上がると、海の水が筑後川に上がってきて、筑後川の水の高さも上がります。 その時、川の水は海の水よりも軽いため、海の水より上にあります。
このように海の高さの変化を利用して、海の水の上にある川の水だけを取る方法を「アオ取水」といいます。
こうして取られた水は「クリーク」という水路にいったんためられ、そこから田んぼへ運ばれました。