鈴鹿山麓のスズメバチ捕殺作戦

 地元湯の山温泉では、春から夏にかけてスズメバチ・トラップによるスズメバチの補殺作戦を行っています。ここは海抜220m〜400mの山の裾に広がる高原で、正面の御在所岳(1212m)にロープウエイがあり、沢山の行楽客がやって来る観光地ですが、スズメバチの生息地としても良い環境です。スズメバチ(当時は殆どがキイロスズメバチ)は捨てられた缶ジュースの甘い蜜の味を覚え何年かの間にどんどん数が増え、子供が缶ジュースを飲む間に缶に入り込み、唇などを刺される被害が出ました。その後スズメバチは住宅の軒、売店の天井裏、倉庫内に巣を作り、人間の生活に支障を及ぼすようになりました。
 大きな巣を作るスズメバチの殆どは働き蜂ですが、これらは冬を迎えると皆死んでしまい、受精卵を持った女王蜂だけが、近くの雑木林の倒木や大きな朽ち木、土の中で越冬し、春先、新しい巣作りのため活動を始めます。一匹で一個の巣作りから始める女王蜂は、夏から秋には数百匹の働き蜂を従えるようになり、働き蜂たちは大きくなった巣を守るために周りの人間、犬、猫などを襲います。
 ですからこの春先に出てきた、巣作りを始める前の女王蜂を先ず捕殺し、巣を少しでも減らそうとスズメバチ・トラップによる補殺作戦が行われました。
 湯の山温泉蒼滝に住まいを持つUさんは、約十年にわたり、自宅の軒先にキイロスズメバチがつくる巣に生活が脅かされて来たため、庭の木の枝にスズメバチ・トラップを仕掛けました。同じ頃、温泉入口のYさんもスズメバチ・トラップを仕掛けました。その後キイロスズメバチは少なくなったようで住宅等への巣作りはなくなりました。昨年2006年の春から初夏には数ケ所に設置したトラップから合計930匹のスズメバチ(種類はヒメスズメバチ、オオスズメバチが最も多く、次いでキイロスズメバチ)が捕殺されましたが、このスズメバチの捕殺数は例年に見られない数量で、大量発生の年だったようです。
 このトラップは最近、地元のゴルフ場、キャンプ場、公園にも設置されたようで、その効果が出ているようです。
 スズメバチ・トラップ製作には、2〜3リットルのペットボトルを使用します。ボトルの3分の2の上部に2p×2pの四角い入口を4ケ所作ります。両側と下を切り、上部を軒のように残します。誘引剤は酒一合(焼酎、ビールでも良し)+酢30t+砂糖50gを混ぜ合わせます。ボトルには深さ3pまで誘引剤を入れます。
 ボトルは庭の風通しの良い木の枝又は近くの公園、山林の枝に紐で蓋の根本をくくり付け、ぶら下げます。スズメバチが入ったら完全に死んだのを確かめてから取り出しますが、誘引剤は再度使用出来ますので、こぼれないように大型の容器で受けて、ボトルに戻し、引き続き使用します。
 使用期間は、4月下旬から7月下旬で、続けるのも良いでしょう。
 もし、出来ればスズメバチを洗って乾燥させ種名を調べて下さい。

ございしょ自然学校 市橋 甫

 

市橋 甫さん:当管理所のある菰野町にお住まいの方で、日本昆虫学会会員です。

       地元の皆さんには”虫の先生”として親しまれており、昆虫を通じて様々に活動されて

       いましたが、平成20年7月13日に急逝されました。謹んでお悔やみ申し上げます。