ぽとり~職員のコラム

2014年07月31日

「芙蓉の人」(滋賀県とは全く関係がない話ですが)


 先日深夜にテレビを眺めていたら、「芙蓉の人」という、明治期に気象観測技師として、富士山頂での越冬観測に挑んだ夫婦のドラマが再放送されていました。実話に基づく話だそうです。
 何げなく観ていると、主人公の幼少期のシーンで「油山、脊振山」という福岡県の山の名称が登場しました。油山は私の母校の裏にある山ですし、脊振山も福岡市民にはなじみが深い山ですので思いがけず懐かしい気持ちになりました。

 油山(標高597m)は油を採るために椿が植えられたことに由来する山で(調べてみると日本で初めての椿油の精製だそうです。)牧場や夜景など、福岡市民の森として親しまれている山です。
 脊振山(標高1054.6m)は佐賀県との県境に長い山脈を成し、現在の県境ラインにまでその影響を残す福岡藩(黒田藩)と佐賀藩(鍋島藩)との境界争いやそれに伴う家老の切腹事件等の舞台となった山でもあります。

 昭和初期にはフランスの冒険飛行家アンドレ・ジャピー氏が愛機と共に脊振山腹に衝突、一命は取り留めましたが負傷し機内に閉じ込められます。当時極東の未知の国であった日本の山奥で一時は死を覚悟したものの、事故を知り駆けつけた村民達の献身的な活動により無事に救出、その際の村民との心温まる交流が美談として今に伝わっています。
 他にも、平安期の僧栄西により日本で初めて行われたと言われるお茶の栽培、古代史の謎と言われる雷山神護石、江戸期に’治水の神様’成富兵庫茂安により築かれた蛤水道(土木学会選奨土木遺産)など、残念ながらややマイナーな、知る人ぞ知る事跡、史跡が多く残る山でもあります。

 千里の道も一歩からという言葉がありますが、厳冬期の富士山頂を目指した主人公の第一歩が脊振山であるといったドラマの描かれ方(言い過ぎ?)にちょっとしたうれしさを感じつつ、今後のドラマの成り行きを楽しみにしたいと思ってます。

朝もやの富士山頂に現れた「影冨士」平成22年撮影(厳冬期ではありません)
朝もやの富士山頂に現れた「影冨士」平成22年撮影(厳冬期ではありません)


 注)日本における茶の栽培の起源については、比叡山など諸説あるようです。