ぽとり~職員のコラム

2014年08月05日

◆犬上川に架かる無賃橋◆


 無賃橋(むちんばし)というものをご存知でしょうか。「無料で渡れる橋」というものです。橋が無料なのは当然のこととお思いでしょうね。琵琶湖大橋有料道路など今でも通行料のかかる橋はありますが、普通はタダで渡れるものです。しかし、昔はどんな小さな橋でも渡り賃が必要でした。それが無料だった橋があるのです。滋賀県彦根市高宮町にある『高宮橋(たかみやばし)』です。

 今のような建築技術が無かった江戸時代、小さな川の場合は歩いて渡るか、川越し人足に背負ってもらって渡るといった手段しかありませんでした。川に橋を架けるのは大変な労力と費用を必要としたのです。
 1767年に初めてこの場所に木製の仮設橋が作られましたが、大雨や台風による増水で、何度も橋が流されました。これに頭を痛めた彦根藩が1832年に近隣の豪商3氏に命じて広く一般の人々から寄付金を募り、石造りの橋を完成させたといいます。この時点では有料だったそうですが、翌1833年には地元の有志の働きで無料化が実現しました。高宮橋が『無賃橋』と呼ばれるようになった所以です。
 現在の橋のたもとには「むちんばし」・「天保三年壬辰十一月」と彫られた標石があります。これは建立当時のものだそうです。180年以上もの重みが感じられるでしょうか。
 実はこの標石、明治3年の大洪水によって流失。その後、大正8年に偶然発見されたそうです。

北側 南側
北側 南側


 ちなみに、歌川広重の名所浮世絵風景画「木曾街道六拾九次之内『高宮』」に、建設工事途中(流された跡かも?)の橋の様子が描かれていました。



 地元の「彦根かるた」にも歌われています。
 下の写真は観光スポットである彦根キャッスルロードの歩道で、かるたの読み札が石畳に刻まれています。
 浮世絵の女性が背負っているのが、高宮布なのでしょう。

 「たかみやぬの せおうてわたる むちんばし」