■ビオトープ整備概要


堤脚水路等の再自然化はニゴロブナをはじめとする在来種の保全につながることを念頭に、堤脚水路等を活用した生物生息空間(以下「ビオトープ」という)の整備を行うものとし、以下に示す4箇所で構造を変えて実施しました。以下に吉川ビオトープ、太田田んぼ池、下物ビオトープ、新浜ビオトープの整備概要、及び平面図を示します。


●吉川ビオトープ

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●太田田んぼ池

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●下物ビオトープ

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●新浜ビオトープ

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※地図の名前からもリンクしています。

ビオトープ設備概要マップ
太田田んぼ池 吉川ビオトープ 下物ビオトープ 新浜ビオトープ

吉川ビオトープ

●設計計画

規模

幅8.7m×延長78.2m(既存水路0.9mを拡幅)

整備概要

堤脚水路を魚類等の生息に配慮した水路へと改修する。

連続性の回復

魚類の移動に配慮し、水路を拡幅及び水路の再自然化を実施する。
周辺ビオトープとの連結が整備上望まれるが、本試験地周辺には存在しない。
ニゴロブナをはじめとする在来種の産卵場となるヨシを整備する。

水位の確保

水路であることから、堰等の構造物の設置が困難であるため、琵琶湖水位と同水位で連動させ、敷高は既存水路敷高であるB.S.L-0.5mを基本とする。
水位低下時にも水が残存できるよう部分的に地盤を掘り下げるとともに、多様な地盤高を造成し、水深の変化に対応できるようにする。
(水位推移実績を考慮し、B.S.L-1m縲鰀+0.3mと設定)

外来種対策

浅い水深となるような整備や落差構造の設置が困難であるため、ヨシ帯の整備による侵入防止を図る。

景観

湖岸植生であるヨシやヤナギを配置する。


●平面図

吉川ビオトープ平面図
吉川ビオトープの写真

太田田んぼ池

●設計計画

 

太田田んぼ池(1)

太田田んぼ池(2)

太田田んぼ池(3)

規模

幅10m×延長50m

幅16.7m×延長108m

幅6.0m×延長50m

整備概要

堤脚水路に隣接する管理用地を魚類等に配慮した湿地環境へと整備する。

連続性の回復

琵琶湖と上流水田との連続性を考慮して、琵琶湖湖岸の内湖を整備目標として湿地環境を創出する。
水田の排水を試験地に導水させ、堤脚水路へ排水させる構造とする。

琵琶湖と上流水田との連続性を考慮して、琵琶湖湖岸の内湖を整備目標として湿地環境を創出する。
堤脚水路から導水して、堤脚水路に排水する構造とする。

水位の確保

水位保持、外来魚侵入防止のため、流出部に角落しを設置し、角落しの高さを調節することで試験地内の水位保持を図る。
過去の水位状況(産卵期)により最低地盤高をB.S.L-0.4mに設定する。
(観測史上最低水位を記録した平成6年は除外)

堤脚水路の流水を導水するため、琵琶湖水位と同水位となる。
過去の水位状況(産卵期)により最低地盤高をB.S.L-0.4mに設定する。
(観測史上最低水位を記録した平成6年は除外)

外来種対策

浅い水深となるような整備や落差構造の設置が困難であるため、ヨシ帯の整備による侵入防止を図る。

特になし

景観

ヨシの整備が在来種保全の観点からは望ましいが、周辺の水田に影響を及ぼしてはならず、施工時にすでにヨシが芽吹いていたため、自然状態で植生を回復させることとした。

その他

産卵ピークにあたる5月に30cm程度の水深が確保できるようB.S.L.-0.2mの範囲を配置するとともに、水位変動に対応できるように最低地盤高(B.S.L.-0.4m)との中間標高部B.S.L.-0.3mの配置を設定する。

試験地(1)に比べ広範囲であることから、水位変動の幅を広くすることが可能であり、試験地(1)より0.1m低いB.S.L.-0.5mを最低地盤高とし、あぜから緩やかな勾配ですりつけ、多様な水深を設定する。イベント開催を考慮して人の出入りがし易いように極力法面を緩やかに設定する。

試験地と唯一直結する堤脚水路の緩やかな水流状況における、生物の生息・生育状況について確認を行う。


●平面図

太田田んぼ池平面図
太田田んぼ池(1)写真

太田田んぼ池(1)

太田田んぼ池(2)写真

太田田んぼ池(2)


下物ビオトープ

●設計計画

 

堤脚水路再自然化(水資源機構管理)

規模

幅5.2m×延長93.2m

整備概要

滋賀県が計画する湖岸堤の堤内地にのこる琵琶湖残地をビオトープ化に併せて、堤脚水路を魚類等の生息に配慮した水路へと改修する。

連続性の回復

魚類の移動に配慮し、水路の再自然化を実施する。

(滋賀県が隣接地で整備するビオトープとは階段式魚道にて接続。)

水位の確保

堤脚水路であることから、堰等の構造物の設置が困難であるため、琵琶湖水位と同水位で連動させ、敷高は既存水路敷高であるB.S.L-0.53mを基本とする。

外来種対策

特になし。

景観

底版および側面がコンクリートである既設水路を石張りの台形断面に変更。

その他

※隣接するビオトープは、滋賀県の管理施設。


●平面図

下物ビオトープ平面図
下物ビオトープ
(堤脚水路再自然化)

下物ビオトープ(堤脚水路再自然化)

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新浜ビオトープ

●設計計画

規模

約1.50ha(上池:約0.70ha、中池:約0.30ha、下池:約0.35ha、池周路:約0.15ha)

整備概要

湖岸堤の前浜にある揚陸施設の一部を魚類等に配慮した湿地環境へと整備する。

連続性の回復

琵琶湖との連続性を考慮して、琵琶湖とビオトープを魚道で接続し、ニゴロブナなどの在来魚が産卵等のために遡上できるようにした。

各池の水際の勾配を緩やかにし、陸域から水域への環境の連続性を確保した。

水位の確保

ニゴロブナなどの在来魚の仔稚魚は、水深が浅くヨシ等が繁茂するところを好むことから、池の水深を30cm程度とする。なお、池の中央部には産卵に来た親魚が一時的に避難できるようみおすじ(水深60cm程度)を設ける。

外来種対策

琵琶湖と池およびそれぞれの池を結ぶ魚道を階段式とし、外来魚の侵入防止を図る。

景観

仮置きしていた航路維持浚渫等に伴い発生する土砂に含まれる琵琶湖湖辺に生息する植物の種子から自然に植物が繁茂することにより、元々の琵琶湖湖辺の環境を再現した。

その他

揚陸施設:航路維持浚渫等に伴い発生する土砂の仮置場所


●平面図

新浜ビオトープ平面図
新浜ビオトープ 全景(航空写真)写真

新浜ビオトープ 全景
(航空写真)

新浜ビオトープ  下池(近江大橋より撮影)写真

新浜ビオトープ  下池
(近江大橋より撮影)