いよいよ今回で最終回の一庫ダム物語です。
  全12回に渡り、様々な角度からダムの歴史や環境、周辺情報等をお届けしてまいりました。1984年3月31日に事業が完了してから、ちょうど20年の月日が経とうとしています。ダム周辺は、環境保全に力を入れながら、整備がすすめられてきました。一庫ダム周辺では、ダムの建設とともにどのような事業がすすめられてきたのでしょうか。
 近年における国民生活の向上・自由時間の増加にともない、国民の余暇活動に対する需要の多様化・増大が進展しており、この傾向は今後も益々強くなるものと考えられています。
 これまでのダム湖は、ダムの管理操作の面から必ずしも積極的な活用がなされていなかったのですが、ダム湖が有している広大な親水機能と、貯水地周辺の恵まれた自然環境を利用して、水辺景観整備や貯水地のリクリェーション施設整備などを行うことにより、国民のニーズでもある自然とのふれあいの場として、さらに水源地の活性化にも寄与することを目的として、昭和63年度よりレイクリゾート事業が創設されました。
 平成2年度に、近畿圏では最初(全国で5番目)にレイクリゾートの事業採択を受けましたが、これは、京阪神地域など大都市に近隣した地区での事業としてははじめての事例であり、過密した都市の住民が日帰りで、水辺のある自然環境の中でのんびりした余暇のひとときを満喫できるようにすることが、この事業の真のねらいです。
 この一庫ダムレイクリゾート事業は、ダムの貯水地面積140haのうち整備可能地約14haを対象に、 総事業費20億円で緑地整備や、 法面保護、護岸の整備等を実施するものです。
 レイクリゾート事業により
整備が進められた近年は、ダ
ム周辺が大阪から20km圏内
という事もあり、これまでに
ダムおよび周辺を利用して湖
周マラソン大会・いかだカー
ニバル・国際交流キャンプ等
のイベントの他、ハイキング
や魚釣りなどが行われ、年間
を通じて広く利用されていま
す。
平成15年 ダム周辺の主なイベント
 
  5月 4日(日) 2003マス釣り&猪名川浄化運動大会
 
  8月 7日(木) 一庫ダム水源祭り
 
 10月19日(日) フレンドシップ2003川西一庫レガッタ大会
 
 11月 8日(土)
  〜22日(土)
ひとはくキャラバンinひとくら公園
 
 11月23日(日) 第22回一庫ダム周遊マラソン

(一庫ダムのホームぺージ 一庫ダム管理所参照)


これからの一庫ダム

「循環型社会を目指して」

  かつては「いなのささはら」と歌に詠まれた猪名野はわずか40年ほどの間に大きく変わりました。ニュータウンが開発され、ダムが造られ、空路・陸路の交通網が整備され、便利な都市になりました。
 この農村から都市への移行は、猪名川流域に限りません。
日本中が変わりました。
その結果、流域の水循環を大きく変化・分断させ
洪水流量の増大、普段の河川の水の減少、水質汚濁、湧水の枯渇、生態系の分断など
新たな水をめぐるさまざまな問題も抱えるようになりました。
私たちはより良い暮らしを目指して試行錯誤しながら技術革新を試み
今、科学技術に支えられて生きています。
しかし、科学はイネを一束一束分けるように専門分化して開発された技術。
分断された技術を結び合わせる作業がまだ残されています。
猪名川流域に生きる人や組織が手をつなぎ、新たな循環型社会を築くため
一庫ダムも、水辺や再生された自然のみならず
水に係わるさまざまな技術・情報を提供し
猪名川流域のパートナーシップに協力したいと思います。

Hitokura Dam's Wish 知明湖 流域の暮らしとともに より

参考図書  一庫ダム:水資源開発公団一庫ダム建設所監修
猪名川五十年史:建設省近畿地方建設局猪名川工事事務所
Hitokura Dam's Wish 知明湖 流域の暮らしとともに:水資源開発公団一庫ダム管理所発行
一庫ダムホームページ 独立行政法人水資源機構 一庫ダム管理所