筑後大堰建設後のあゆみ  
   
昭和60年4月 管理開始
昭和63年8月 水の祭典の一環として青年会議主催の「イカダフェスティバル」開始
平成2年9月 カヌー競技開催(国体)
平成3年9月 大型の台風19号の影響により上流域で山林の木がなぎ倒される
平成5年8月 平成3の台風19号による風倒木が流出し、大堰地点で約7,300本の流木を確認
平成6年8月 異常渇水を記録(補給量約500万m3)
平成7年7月 管理開始以降最大の洪水を記録(堰地点毎秒4,600m3)
平成11年9月 台風18号の影響により高潮発生
筑後大堰を造って洪水時に効果
筑後大堰では、大きな洪水の際にはゲートを全開するようにしています。昭和60年から平成13年までの17年間に、そのようなケースは60回以上ありますが、全開することで洪水疎通能力が増大し、その結果川の水面が下がり、氾濫を防ぐことができたといえるでしょう。筑後大堰が完成する以前には、54万人の被害をもたらした昭和28年6月の洪水をはじめ、筑後川の氾濫はたびたび発生しました。それは、以前は固定堰である上鶴床固め等のため、洪水の疎通能力が不足しその結果、堰の上流側の水面が大きく上昇したためと考えられます。
筑後大堰を造って水不足時に効果
筑後大堰が完成してから平成6年に九州地方を大渇水が襲いました。昭和53年に福岡都市圏を襲った過去最悪の渇水といわれた時と比べても年降水量は53年の8割にも満たず、福岡市では295日の給水制限、最高12時間の断水が続き市民生活に不便な日々がつづきました。しかし、筑後大堰等の水資源開発が進んだことなどから、19時間断水や給水車の出動(延べ13,433台)などあった53年渇水ほどの大混乱はありませんでした。

 
筑後大堰を造って流域内の水道取水を安定したものに
筑後大堰の貯水池からは、福岡県や佐賀県の多くの人々が利用する水道水が取水されています。流域内人口95万人、福岡都市圏人口210万人の生活に役立てられており、いつでも水道の蛇口をひねれば水が使用できるようになっています。なお、大渇水の時は、水道用水の他にも農業用水など利用目的に応じて筑後川の水が使用されているので関係者が協議し取水制限を行い大切な水を使用することになります。
筑後大堰を造って不安定な農業を安定したものに
筑後川の下流域は、有明海の干満の差を利用した独特の淡水(アオ)取水による農業が行われていました。すなわち、比重の小さな淡水が海水の満潮によって押し上げられた時に淡水のみを樋門から取水し、クリークに溜め農業に用いる方法です。この方法は通常は有効ですが、渇水時には淡水中の塩分が濃くなり、塩害が生ずることになります。実際に平成6年に、最下流の大詫間地域では、稲が全滅の状態になりました。 これらを解消するため、今まで約200ヶ所で取水していた淡水取水にかわり、大堰上流の貯水池から合口して取水し、安定的に農業用水の取水が可能になりました。
筑後大堰を造って水の流し方をアンダーフロー主体に
筑後大堰が完成する前は、石積みの固定堰(上鶴床固め)があり、水は主に石積みの上から流れていました。これでは、土砂等が固定堰でとまり下流へ流れにくい構造であったため、可動堰(ゲートを開閉して水を流し、水位を一定に保つ)である筑後大堰に造り替え、ゲートの下から水が流れるアンダーフロー主体の方式で管理しています。
筑後大堰を造って日本住血吸虫病撲滅
筑後川には、昔から日本住血吸虫病という風土病がありました。この病気は、宮入貝という貝の中で育った住血吸虫が人間の皮膚から体内に入り込み血管の中を通って肝臓の中に住み込み卵を産みつけるもので、肝硬変という病気になり場合によっては死んでしまう恐ろしい病気です。筑後大堰を造るにあたり、日本住血吸虫病撲滅運動を起こしました。宮入貝は湿地帯に生息する習性があり湿地帯を無くす事により宮入貝(住血吸虫)の撲滅が考えられました。対策として、筑後大堰では低水護岸整備及び高水敷の整備等により湿地帯を無くしました。その他関係機関においても一致協力して河川敷に凹凸がないように、グラウンド、公園、ゴルフ場等の整備を行った結果、昭和58年に宮入貝がいなくなり、平成2年に安全宣言を行いました。その後も、見逃しの可能性があるので関係機関により調査を続けた結果、平成12年に一連の終息となりました。

 
筑後大堰を造って交通渋滞緩和?
筑後川を横断するとき、筑後大堰の管理橋を通行されたことはありますか?筑後大堰の上流2kmには豆津橋、下流2kmには天建寺橋がありますが、朝・夕にはかなりの交通渋滞が発生しています。筑後大堰ができたことにより、多少なりとも渋滞の緩和になったでしょうか?
筑後大堰の貯水池を利用して
筑後大堰上流の貯水池を利用して、様々な催しが行われています。毎年実施される久留米水の祭典の一環として「イカダフェスティバル」「花火大会」など、また、平成2年には国体のカヌー競技が行われました。

 
筑後大堰貯水池の水の品質を調べる
筑後川の水は、飲み水、農業の水、漁業の水、工場の水などなど様々な用途に使用されています。
筑後大堰では定期的、長期的に水等の品質を調べ、監視しています。