寺内ダムでは、きれいで安全な水を安定的に供給するために、日々努力しています。
寺内ダムでは、管理開始直後の昭和54年夏に水道利用者からカビ臭障害が指摘されました。
この後も貯水池の富栄養化のために、カビ臭障害やアオコによる景観障害が発生しています。
このような障害を解消するため、平成2年度に建設省(現国土交通省)によりクリーンアップレイク
事業が採択され、平成3年度から各種の水質保全対策の施設を建設省と水資源開発公団
(現水資源機構)により設置しました。
現在は、水資源機構朝倉総合事業所寺内ダム管理所が運用管理を行なっています。
寺内ダムに流れ込む水は流域内の果樹園、田畑、畜産、家庭等から出る窒素・リン等を多く含
んでいます。寺内ダムでは、特に富栄養化の原因の1つであるリンの削減に重点を置き、流入河
川水を対象とする施設を設置しています。
また、美奈宜湖における植物プランクトンの発生の抑制及び軽減を目的とする施設も設置しており、貯水池内対策と流入河川対策の2本柱による水質保全対策を実施しています。
![]() 風により洪水吐に アオコが吹き溜まった状態 |
![]() カビ臭障害を発生させる フォルミディウム |
![]() アオコを発生させる ミクロキスティス |
■貯水池内対策
@曝気循環装置 A流入フェンス B加圧噴射衝撃浄化装置
C角枝地区土砂流入防止工 D荷原地区土砂流入防止工
■流入河川対策
E帝釈寺川水耕浄化施設 F帝釈寺川河道部浄化施設 G佐田川浄化施設
曝気循環装置は、水面から10m、15m、20mの水深を選び空気を連続的に送ります。空気が水中を上昇することにより、湖に循環流が発生し、循環混合層(水温の均一な層)を形成させます。表層の水温が低下するとともに、植物プランクトンは循環流により下に潜り、十分な光を得られなくなります。これらの作用により植物プランクトンの異常増殖を抑制します。
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![]() 曝気稼働状況 |
発生した植物プランクトンの拡散を防止します。
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湖内の水を取り込み、加圧して衝撃板にぶつけます。この衝撃で水中の藍藻類の群体を破壊し、動物プランクトンに食べられやすくしたり、浮く機
能をもつ細胞の気胞を破壊し沈降させたりします。
貯水池湖岸からのリン分を含む土砂と濁水の流入防止を図ります。
また、水の文化村(水辺のふれあいゾーン)に隣接しており、親水の場としても利用されています。
ここは寺内ダム建設時に堤体の材料として岩石などを採取した場所です。この場所から美奈宜湖へのリン分を含む土砂や濁水の流入防止を図ります。また、親水の場としても利用されています。
帝釈寺川河道部浄化施設を通った水を導水し、鹿沼土で作ったリン吸着材と植物を用いてリンを除去します。
![]() 水耕浄化施設 |
![]() 植物の状況 |
![]() リン除去の概念図 |
帝釈寺川の水をプラスチック素材で作ったひも状接触材に通し、リンを除去します。
![]() 下流側(内側のひも状接触材を撮影) |
![]() 下流側(ふたを乗せて撮影) |
![]() 上流側(取水口) |
佐田川の水をプラスチック素材で作ったひも状接触材に通し、リンを除去します。 通過した水は、砂礫の上に植えた畑を通り、砂礫と植物による吸着により、リンを除去します。
![]() 水耕浄化施設 |
![]() ひも状接触材(ふたを開けた状態) |
![]() ふたを取付けた状態 |