ゲートの操作は、堰に流れてくる水量と、堰下流の水位によって、平常時、洪水時、高潮時、津波時などのそれぞれの状況に応じて対応します。
平常時においては、河川環境の保全に配慮し、水をゲートの上から流すオーバーフロー操作(図中1)と、下段ゲートを上げて下から流すアンダーフロー操作(図中2)を行います。魚類の遡上(そじょう)期には、魚道への呼び水効果を高めるため、魚道に近いゲートから優先して水を流下させるなど、魚類の遡上・降下に十分配慮しています。
堰下流の水位が予測より高くなり、塩水が侵入するおそれのある場合には、ゲートを全閉する操作を行います。
洪水時には全てのゲートを堤防より高く引き上げることにより、洪水の流れを妨げません。
堰流入量が毎秒200立方メートルを超えるまではオーバーフローを基本として操作を行いますが、堰流入量が毎秒200立方メートルを超え、さらに増加すると判断したときは調節ゲートをアンダーフローの状態として、洪水時の全開操作に備えます。(図中1)
堰流入量が毎秒800立方メートルに達した時には、原則として、全てのゲートを全開とし、ゲート下端を堤防高(標高5.8m)より高く引き上げておきます(図中2)。この場合、ゲートを全開しても川の水の勢いが強いので、塩水を下流に押し流すことになり、塩水は堰より上流には入りません。
ただし、堰流入量が毎秒800立方メートルを超えても、以下の「塩水遡上3条件」に合致している場合は、塩水が上流に侵入するおそれがあるため、その条件から外れるまでアンダーフローを継続することがあります。
洪水時における長良川下流部の河川水位は、川底を掘り下げたことにより、これまでよりも低い水位で流れることになり、洪水に対する安全性は格段に向上しました。川の中に残る堰柱によるせき上げはごくわずかであり、洪水の支障になることはありません。
高潮時には全てのゲートを堤防より高く引き上げるため、ゲートが高潮の妨げになることはありません。
全開の操作は、下流の水位が標高1.2mを超え、さらに2.1mを超えると予測される時に行います。
下流の水位標高1.2mを超えても、2.1mを超えると予測されない場合は、塩水の侵入を防ぐためゲートは全閉する操作をします。
気象庁から伊勢湾沿岸に対して津波警報が発せられ、伊勢湾外から大きな津波の到達が予測されるとき(伊勢湾口の神島観測所で2m以上の津波が観測された時)は、全てのゲートを堤防高より高く引き上げます。このため、津波時にゲートが支障となることはありません。
ゲートの全開操作にあたっては、船や釣り人などの河川利用者に対し、スピーカーやサイレンにより津波についての情報を伝え、河川からの避難を呼びかけるとともに、関係機関への通知を行います。