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神秘の銘水『白谷の出水』を踏査しました

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 丹生ダム建設所では、水源地域の活性化に役立てることを目的として、(1) 周辺地域の利活用に対する地元の意向集約、(2) 地域資源の発掘、(3) 地域資源の活用方策の検討 を地域の方々の協力を得て行っています。この地域資源の発掘では、聞き取り等で得られた情報を基に現地へ赴き、実際に活用可能な地域資源かどうかの確認もあわせて行っています。
 これら新たに発掘された地域資源の情報等も含めて、水源地域の活性化について取りまとめることとしています。

 水源地域の活性化を目的として、地元の方々と一緒に地域の歴史・伝統・文化を調べている中で、「横山岳の中腹に、絶え間なく湧き出ている『白谷の出水(しらたにのでみず)』というものがある!」という情報を入手しました。地元の方でもこの出水をご存じの方は限られ、その記憶も薄れかけている状態でした。そこで、かつて現地へ行った経験のある地元の方々、余呉町役場の方々、水機構職員の総勢11名で、現地を確認してきました。

 平成21年12月2日(水)9:30、道中の無事を祈りつつ、林道沿いに設置してある手綱を使った横山岳(標高 1,132m)への登山から始まります。
 横山岳山頂に向けて進路をとり、尾根道を登っていく途中では“ケンポナシ”というクロウメモドキ科の落葉高木が自生していました(写真-1)。見た目は枝付き干しブドウみたいですが、食べると独特の甘みがありました。

 登り始めから約1時間半ほどで、七々頭(ななず)ヶ岳(標高 693m)の頂きを見通せるところまで辿り着きました(写真-2)。澄み切った青空のもと、冬の装いを見せ始めた湖北の山々…山裾には余呉町の菅並(すがなみ)地区を流れる高時川の流れも確認できました。

ケンポナシ
写真-1 ケンポナシ(一部合成)
湖北の山々
写真-2 湖北の山々、絶景なり!

 比較的歩きやすかった尾根道を外れ、出水への道は、気を抜けない道なき道へと変わってきました。『かなり人の手を入れないと、厳しぃなぁ....』と思いつつ、それでもガンバる一行… 聞こえ始めた水の音もいつしか大きくなり、ゴールが近いことを確信しました。

 出発してから約4時間半経過した 14:20頃、ついに『白谷の出水』に到着しました(写真-3)。山の中腹から、大量の水が勢いよく吹き出すように流れ出て、まるで白い小さな滝のようでした。なるほど!『白谷』と呼ばれる理由が分かったような気がしました。

 ガレキのように折り重なった岩の間から、コンコンと湧き出る水(写真-4、写真-5)。きれいな水とは信じつつも、念のため、簡単な水質調査を行いました(写真-6)。水温は 9.3℃(気温15℃)、簡易試験(PACテスト)によるとCOD(化学的酸素要求量、水の汚れ具合の指標)は0〜2mg/Lという簡易試験で検出できる最小レベル!
 きれいなことを確認したところで、出水の水を飲んでみました。地下水ならではの温かさと柔らかな口当たり… もう最高に美味しい!

白谷の出水
写真-3 白谷の出水、滝の如し!
湧き出る水
写真-4 絶え間なく湧き出る水
コンコンと
写真-5 ここから、コンコンと
水温チェック
写真-6 まずは水温を確かめて

 神秘の銘水の確認を終え、西日を浴びながら下山します。尾根道を下る途中、シャクナゲの群生地(写真-7)を発見しました。さらに、七々頭ヶ岳に沈む夕日(写真-8)が目の前に… 冬空を茜色に染めて沈んでいく夕日は美しく、神秘的で「ご褒美ゲット!」という感じでした。

シャクナゲ
写真-7 シャクナゲ群生
ご褒美
写真-8 本日のご褒美!

 地元の方々のお話によると、菅並地区で利用している簡易水道は、白谷川の源流である『白谷の出水』を水源としているとのこと。水がきれいで豊富なことから、今から20年ほど前には、国内の某大手酒造メーカーが調査に訪れたこともあったそうです。また、『白谷の出水』のあるあたりは、昔から『天狗の森』とも呼ばれていたとか…。“天狗”がすむ森なんて、ますます神秘的じゃないですか!

 美しい自然と神秘の銘水『白谷の出水』は、水そのものもさることながら、途中の美しい眺望や豊かな自然もすばらしく、地域資源として有望であることが確認できました。
 水源地域の活性化に関するとりまとめ内容に反映させていきたいと考えています。


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