むかし、美しい水がこんこんと湧き出る小さな泉があったそうです。川合村の治郎吉という人がこの泉の近くの田んぼに毎日仕事にきていました。治郎吉さんは村でも評判の正直者の働き者でした。
治郎吉さんは仕事が終わると、きまってその泉の水を飲んで、家路についていました。そうして2キロメートルの道を歩いて家につくことになると、フラフラとすっかりいい気分に酔っぱらっていたそうです。なんと不思議なことにその泉は、お酒の湧き出る泉だったのです。
ところが、あんまり毎日酔っぱらって帰ってくるので、おばあさんが怒って泉を汚してしまいました。そうすると、泉の水はふつうの水に変わって、だんだんと枯れていってしまい、とうとう一滴の水も出なくなったということです。