昔々、伊吹山(いぶきやま)のふもとに二人のかわいい姉妹が住んでいました。二人はとても仲がよく、何をするにも一緒でした。そのころ伊吹山は毎日の雨降り続きで、人々も困り果てていました。そのうち伊吹山のお腹がふくれあがって、今にも破れそうになってきました。
人々と山を気の毒に思った姉妹は山へ登って、山のお腹へ飛び込んだのです。するとどうでしょう、姉妹は二匹の龍になり、姉龍は山のふもとにおり、妹龍は山のすそを北におりました。しかし妹龍は姉龍が恋しくなってきたので、すぐ後を追いかけ、二匹は今の落合という所で一緒になり流れて琵琶湖に沈みました。
おかげで伊吹山のお腹の水は川になり、姉龍のとおった川を姉川と呼び、妹龍のとおった川を妹川(現在の高時川)と呼ぶようになりました。