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地元の方々と敦賀道(庄の峰越え)を踏査しました

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 丹生ダム建設所では、水源地域の活性化に役立てることを目的として、(1) 周辺地域の利活用に対する地元の意向集約、(2) 地域資源の発掘、(3) 地域資源の活用方策の検討 を地域の方々の協力を得て行っています。この地域資源の発掘では、聞き取り等で得られた情報を基に現地へ赴き、実際に活用可能な地域資源かどうかの確認もあわせて行っています。
 これら新たに発掘された地域資源の情報等も含めて、水源地域の活性化について取りまとめることとしています。

 水源地域の活性化を目的として、地元の方々と一緒に地域の歴史・伝統・文化を調べている中で、「余呉町の中河内から敦賀市の谷口に抜ける古くからの道がある!」という何とも興味深い情報を入手しました。しかし、現地の様子が良く分からない状況でしたので、地理に明るい地元の方々、余呉町役場の方々、水機構職員の総勢8名で、実際に現地を確認してきました。

 平成21年11月24日(火)午前9時、余呉町中河内にある廣峯(ひろみね)神社付近から敦賀道は始まりました。人が歩いた跡を雨水が流れ、その上を人が歩くことで道が掘れる。この繰り返しでできた敦賀道は、まるで溝の中を歩くかのような状態でした(写真-1)。先人たちは一体どんな思いでこの道を歩いたのだろうか? 何とも歴史を感じます。

 滋賀・福井県境へ向かう途中、ブナの倒木に自生する天然のナメコ茸を発見しました。県境付近では、謎の三角屋根の建物を発見!かつての通信施設の名残りだそうで、郵便ポストでおなじみの逓信マーク(〒)がついていました(写真-2)。

まるで溝の中
写真-1 敦賀道は溝の中
三角屋根
写真-2 謎の三角屋根!(一部合成)

 約1時間峠を下り、ようやく『池河内(福井県敦賀市)』に到着! 道中は、イノシシが泥浴びをするヌタ場や熊の爪痕(写真-3)が見うけられるなど「自然豊かなところだなぁ〜」と思う反面、「一人じゃ絶対イヤ!」と固く心に誓いました。
 池河内の周辺は、小規模ながら豊富で特異な植生であるとともに、古典的な湿原環境を構成していることから、福井県の自然環境保全地域に指定されているとのことでした(写真-4)。

クマの爪痕
写真-3 クマの爪痕!
池ノ河内自然環境保全地域
写真-4 池ノ河内自然環境保全地域

 敦賀道のゴールは敦賀市谷口なので、もう一山越えなければなりません。運動不足の疲れた体で歩く一行の前に現れたのは、手入れもされていない「どこが道なのぉ?」と聞きたくなるほどの道でした(写真-5)。背丈ほどのクマザサや生い茂る雑草のせいで少々道に迷いましたが、山頂の高圧鉄塔を目指して道なき道を進みました。

 ようやく辿りついた頂上では、敦賀の町並みと敦賀湾を望む絶景(写真-6)が一行を出迎えてくれました。頑張って歩いたご褒美だったのでしょうか?

道なき道を
写真-5 道なき道の敦賀道
ご褒美
写真-6 ご褒美!絶景の敦賀湾

 高圧鉄塔管理用の整備された道を下り、西谷川沿いの林道まで来れば、ゴールはもうすぐ! 疲れているハズなのに、何やら足取りも軽くなってきました。

 午後2時、敦賀市谷口に到着! 中河内を出発して約5時間、約12kmの行程を無事に踏破しました。歴史の一端を垣間見た高揚感と踏破した達成感、心地よい疲労感に包まれながら、余呉町への帰路についたのでした。

 地元の方々の話によると、敦賀道は戦国時代以前から開かれていた街道で、豪雪地帯にあってなお、四季を問わず人の流れが絶えない交通の要所であったとのこと。かつては、この道を通って敦賀方面からの定期的な行商があったので、山間地である湖北にあっても日本海の新鮮な魚介類を手に入れることができていたというのは驚きです。また、中河内からも炭俵を背負って、敦賀まで歩いていたとか…

 美しい自然と歴史的背景を持つ『敦賀道』は、地域資源として有望であることが確認できました。
 水源地域の活性化に関するとりまとめ内容に反映させていきたいと考えています。


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