環境保全の取組
川上ダムの環境保全に関する取組
1.オオサンショウウオに関する環境保全対策

オオサンショウウオ (サンショウウオ目オオサンショウウオ科) |
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【別名】 | ハンザキ(地域によっては、ハンザケ、アンコウ、ハザコとも呼ばれています。) | ||
【特徴】 | ・ | 日本固有かつ世界最大の両生類で最大1.5mまで成長 | |
・ | 形態が約3千万年前からほとんど変化していないことから“生きた化石”とも呼ばれています。 | ||
・ | 国の特別天然記念物に指定 |

伊賀地域は、三重県内でもオオサンショウウオの生息記録が多く、概ね安定した個体群が維持され、良好な生息環境が広い範囲に存在しています。
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(1) | ダム堤体ができる場所やダムにより水が貯まる場所 (以下「ダム貯水池」という。) に生息するオオサンショウウオの生息環境は減少しますが、前深瀬川上流域及び伊賀地域にあるオオサンショウウオの生息環境は引き続き残存します。 |
(2) | 川上ダムの建設によりオオサンショウウオの生息環境が一部減少してしまうことから、川上ダムでは環境保全対策を実施することとします。 |
(3) | 全ての保全対策については学識者等の指導・助言を得ながら実施することとしています。 |
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ダム貯水池下流側にもオオサンショウウオが生息しており、繁殖巣穴及び、孵化幼生、成体を確認しています。 このため、ダム貯水池下流側について、生息環境の改善を図ることとしています。 ●寄せ石の整備
●選択取水設備の設置 |
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●オオサンショウウオの移転
ダム貯水池に生息しているオオサンショウウオは、ダムに水を貯め始める前までに保護し、同じ山間部を流れるダム貯水池より上流側の河川に移転することとしています。 |
ダム貯水池上流側への移転にともない個体が増加することとなります。 このため、ダム貯水池上流側について、生息環境の改善を図ることとしています。 ●遡上路の設置
●人工巣穴の設置 |
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これまでの現地調査で、繁殖巣穴、孵化幼生が生息する落ち葉溜まり、成体の隠れ家などを確認し、オオサンショウウオの生息環境として適していることを確認しています。 |
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なお、ダム貯水池上流側にもオオサンショウウオが生息していることから、 @ オオサンショウウオの生息密度 A 餌となる魚類の現存量 を考慮して、オオサンショウウオを適切に移転することとしています。 |
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オオサンショウウオの移転先には、河川を横断している構造物が点在していることから、オオサンショウウオが移動できるように遡上路の設置を進めています。 | ![]() |
・ | 川上ダム建設所が試験的に河川に設置した遡上路をオオサンショウウオが遡上している映像です。 |
→映像はこちら |
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・ | 水資源機構の技術研究発表会で発表した遡上路に関する論文です。 |
→「河川におけるオオサンショウウオ道の遡上試験−遡上している個体の撮影に成功−」 |
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→「川上ダムのオオサンショウウオ道遡上試験について」 |
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オオサンショウウオは、繁殖活動の際巣穴を必要とし、複数の個体がひとつの巣穴において産卵行動を行うため、巣穴は大きな容量が必要です。 このため、オオサンショウウオの移転先として計画しているダム貯水池上流の生息環境の改善として、繁殖活動に必要な人工巣穴の設置を進めています。 |
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・ | 川上ダム建設所が試験的に河川に設置した人工巣穴をオオサンショウウオが利用している映像です。 |
→映像はこちら |
【ダム貯水池下流側】 |
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身を隠すための隠れ家として、水際部に寄せ石や置き石の整備を行うこととしています。 | ![]() |
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ダム建設後、ダムから水を放流する際は、水質保全設備(選択取水設備、流入水バイパス)を運用することにより、放流水温による影響を低減することとしています。
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![]() 選択取水設備とは 下流河川の環境を考慮し、最適な水温の水深から取水し放流するための設備です。 |
これらの環境保全対策を実施し、オオサンショウウオを上位とする河川域の生態系を維持できるよう努めていきます。 |
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オオサンショウウオの生息環境への影響を把握するために、孵化幼生及び成体の生息を確認する調査を行います。また、保全対策の効果を把握するために、遡上路や人工巣穴の利用状況を確認する調査を行います。 これらの調査結果により、有識者の意見を伺いながら、よりよい保全対策を検討し実施します。なお、ダムの完成後もモニタリング調査を継続して行います。 |
オオサンショウウオの保全対策やモニタリング調査は、文化庁より現状変更の許可を得て実施しています。 |