水資源機構

荒川ダム総合管理所(浦山ダム・滝沢ダム)

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ダムと環境

滝沢ダムにおける環境保全のとりくみ


■ 環境保全の目標
秩父多摩甲斐国立公園内で実施する滝沢ダム建設事業では、事業による影響を極力小さくすること(Low-Impact)を基本とし、またより豊かな環境が回復し維持されることを目標としました。

■ 環境保全の基本方針
1)多様な生物が多く確認された生息・生育環境について、改変を小さくし、現状の保護に努めます
2)水域及び水辺への依存性の高い生物について、その生息・生育環境が復元されるよう努めます。
3)陸域において改変が比較的広範囲となる地域について、地域本来の自然植生の復元に努めます。
4)建設発生土受入地等によって改変する沢について、自然の環境が回復されるように努めます。
5)貯水池について、湖水及び水辺環境の保全に努めます。また魚類の生息保護に努めます。
6)工事中・工事後を通じ、定期的なモニタリング調査により自然環境の変化を把握するとともに外来種の侵入などに対する啓発などを行い、保全策の効果の発現に努めます。
7)工事中において現存する生物への影響を小さくするため、行程や工法などに留意します。

■ 実施した環境保全対策
1)工事用照明にナトリウム灯を使用
 ダム工事の照明には、昆虫類の誘導が少ないとされるナトリウム灯を使用しました。


ナトリウム灯による工事照明

2)希少猛禽類の生息環境保全
 クマタカ等の希少猛禽類の生息環境を保全するため、付替道路の一部をトンネル化し工事による地形改変を少なくしました。工事においては低騒音・低振動型の施工機械を採用するとともに、トンネル工事では坑口に防音扉を設置しました。また、繁殖活動に配慮して近くでの工事を一時中止も行いました。さらに、針葉樹林を皆伐や巻枯らしにより落葉広葉樹林へ遷移させる林相転換を試験的に実施しています。


トンネル坑口の防音扉 


巻枯らしの試験区

3)希少植物の移植
 工事により生育地が消失することとなる希少植物(シダ植物:ヒメウラジロ、ミヤマウラジロなど)を、工事区域外の同様の生育環境地へ移植しました。


移植状況

4)自然植生の復元

 原石山やダムサイトあるいは道路工事で発生する法面は、ダム周辺で採取した郷土種や苗木による植生の復元を図りました。また、掘削時に表土(表土の中には種子が含まれている)部分を保存しておき、工事終了時にその表土をまき出すことによる植生回復も実施しました。

原石山(平成15年8月) 表土まき出し 

 

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原石山(平成15年8月)

 

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原石山(平成21年8月) 順調に植生が回復している

 

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原石山(平成23年8月) 

 

5)中大型哺乳類の分断対策
建設発生土受入地に設置した水路によって分断される中大型哺乳類の移動が可能となるように横断橋や脱出施設を設置しました。

 

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建設発生土受入地水路に設置した中大型哺乳類の脱出施設

 

6)貯砂ダムに魚道を設置
貯水池の上流部分に設置した貯砂ダムに魚道(横付け型階段式)を設置し、貯水池と流入河川の分断を防ぎました。

 

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貯砂ダムの魚道(横付け型階段式)

 

7)コウモリ類の生息環境保全
ダムサイトの地質調査用の横坑には、コキクガシラコウモリ等の生息が確認されていますが、ダムの管理や安全上支障のない範囲で横坑を残し、コウモリ類の生息環境保全を図っています。

 

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コキクガシラコウモリ

 

8)多自然型渓流環境の復元
ヒダサンショウウオ等の生息環境が建設発生土受入地の工事に伴い一部失われたことから、渓流環境の整備を行い生息環境の復元を行いました。

 

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ヒダサンショウウオ

 

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多自然型渓流