洪水時:琵琶湖周辺の浸水被害を軽減します。
洪水になると琵琶湖水位の上昇により、琵琶湖周辺の土地が低いところは湛水します。 流入河川への逆流で河口付近の河川が氾濫し、さらに湛水被害が広がります。 湖岸堤や内水排除施設が、被害を最小限に抑えています。
渇水時:琵琶湖の水を有効に利用し、渇水による被害を軽減します。
下流が必要とする40m3/sの水量を確保するため、琵琶湖の水位に合わせて、瀬田川洗堰で流量を調節します。琵琶湖水位が低下した場合は、瀬田川洗堰に設置したバイパス水路によってきめ細かな放流操作を行います。放流量をコントロールすることは、琵琶湖の水位 を管理していることにもなります。なお、バイパス水路は水資源機構の施設ですが、既設の瀬田川洗堰と一体的に操作する必要があるため、国土交通省に委託して操作を行っています。
南湖の湖岸堤・管理用道路には、湖中につくられた区間があり、この区間の湖岸堤と、もとの湖岸との間に残った水面 は、内湖(津田江内湖・草津市、木浜内湖・守山市)となりました。 この内湖を湖岸堤でしめきってしまった場合、
内湖の水質が悪化する。
渇水など水位が低下したときに、内湖が干上がり、環境が悪化する。
といったことが心配されました。
そこで、
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湖岸堤の途中に水門を複数設置して、内湖と琵琶湖の水が出入りできるようにする。
湖岸堤の途中に設置した水門の一部に堰をつくり、琵琶湖の水位 が低下したときに、内湖の水位を保てるようにする。
堰により内湖の水位を保っているときに、給水設備によって琵琶湖から内湖に水をくみ上げ、内湖の水質の悪化を防ぐ。
といった対策を行いました。
津田江内湖(草津市)
琵琶湖の水位が下がったときに内湖の水位を保つには、まず、湖岸堤の途中に設置してある水門のうち、堰を持たない水門のゲートをすべてしめます。次に、堰を持つ水門は、ゲートを開けたまま堰を操作して、内湖の水をせき止めることにより、内湖の水位 が下がらないようにします。しかし、堰により内湖の水をせき止めているだけでは、水が入れ替わらないため、水質がだんだんと悪化し、また、内湖の水が蒸発したり、農業用水に使われることによって、内湖の水位は下がっていきます。 これを防ぐため、給水設備を設置しています。給水設備は図のように、琵琶湖の水位 が低くなっても取水できるよう取水口を沖に出して設置してあり、この取水口を通 って流れてくる琵琶湖の水をポンプでくみ上げて、内湖へ送ります。琵琶湖から内湖へ給水することによって、内湖の水位 が上がり、堰からあふれて琵琶湖へ流れるようになり、内湖の水が入れ替わります。こうして内湖の水位を保ち、水質の悪化を防ぎます。
給水設備のしくみ