今切川河口堰・旧吉野川河口堰の特徴
防食技術
ゲートの腐食とは、鉄と酸素と水が化合して赤錆の原因である水酸化鉄に変わり、強度を低下させる事を指します。
このため塗装を行い、塗料の膜を形成し酸素や水の供給を遮断して腐食を防止しています。
しかし、塗装は日光により劣化したり、傷を受けたり、貝類に食べられることにより機能が低下します。
水中の金属構造物で腐食する部分をマイナス電子で帯電させ、金属表面に生じる電気化学反応を防ぐ方法で防食ができます。これを電気防食といいます。
この方法には、アルミニウムやマグネシウム等の金属を陽極にした流電陽極方式と直流電源を用いた外部電源方式があります。
ゲートに取り付けた電極棒
今切川河口堰・旧吉野川河口堰では塗装と併せ、流電陽極方式を使って防食を行っています。
この結果、塗装の耐用年数は一般に8年程度ですが、電気防食と組み合わせると12年程度塗り替えなくても済みます。塗装のみの防食と比べ環境によってはかなり経済的になります。
今切川河口堰・旧吉野川河口堰では「全国で初めて河口堰で電気防食を導入」し、効果を挙げています。
電気防食のメカニズム

流電陽極方式は、被防食体(ここではゲート設備(扉体)を指します)より電位の低い金属(マグネシウムやアルミニウム、亜鉛)を、流電陽極として被防食体に取り付けることにより、被防食体との電位差が生じ防食に必要な電流を陽極から補充する方式です。
流電陽極方式は外部電源方式に比べ、電力が不要であり、施工が簡単で陽極が消耗するまでは維持管理が不要であるというメリットがあります。