暮(く)らしに大(おお)いに役立(やくだ)つ水(みず)が、恐(おそ)ろしい表情(ひょうじょう)を見(み)せることがあります
筑後川(ちくごがわ)は、いつも私(わたし)たちにやさしいわけではありません。洪水(こうずい)のおこる回数(かいすう)の多(おお)さ、その被害(ひがい)の大(おお)きさ、そしていつ起(お)こるかわからない気(き)まぐれさに、流域(りゅういき)の人々(ひとびと)は、長(なが)い間(あいだ)悩(なや)まされてきました。たくさんの水(みず)は、とても便利(べんり)にしてくれますが、時(とき)として多(おお)くの生命(せいめい)や貴重(きちょう)な財産(ざいさん)を一瞬(いっしゅん)にしてうばうこともあります。
発生年 はっせいねん |
総雨量 そううりょう |
被災者 ひさいしゃ |
氾濫面積 はんらんめんせき |
浸水戸数 しんすいとすう |
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明治22年 | 多量 | 多数(死者73人) | 多大 | 約6000戸 |
大正10年 | 360ミリ | 多数(死者65人) | 多大 | 多数 |
昭和28年 | 705ミリ | 54万人(死者147人) | 505k㎡ | 74,000戸 |
昭和54年 | 556ミリ | 3,800人 | 190k㎡ | 1,443戸 |
昭和28年災害(しょうわ28ねんさいがい)
数(かず)ある洪水(こうずい)の歴史(れきし)の中(なか)でもっとも大(おお)きな被害(ひがい)を出(だ)したのが、昭和28年6月(しょうわ26ねん)の大水害(だいすいがい)です。
記録的(きろくてき)な豪雨(ごうう)により、100ヶ所以上で堤防(ていぼう)がきれ、被災者約54万人(ひがいしゃ54まんにん)、流(なが)された家(いえ)は1万2千戸以上、被害総額(ひがいそうがく)は、今(いま)のお金(かね)に計算(けいさん)しなおして2,200億円(2200おくえん)にものぼりました。
そのはんらん面積(めんせき)は、一般的(いっぱんてき)なサッカー場の約5万倍(やく5まんばい)!いかに大(おお)きな水害(すいがい)だったかわかるでしょう。
水害は、いつ私たちをおそうかわかりません。だから、ふだんからのそなえがとても大切です。
筑後川では、昔から川幅を広げたり、堤防を高くするなどの工事が何度も行われてきました。また、28年災害をきっかけに、ダムによる水害防止が計画され、上流に松原・下筌(しもうけ)ダム、中流に寺内ダムがつくられました。これらのダムと、堤防や護岸、水門や排水機場などが力を合わせて、筑後川全体の安全を守るようにしています。
平成3年、台風19号によってたくたんの木が倒され、筑後川の上流に流れ込みました。これらが、下流をおそったら、大変な被害が出るところでしたが、松原・下筌ダムのおかげで、大災害にならずにすみました。
昭和54年、筑後川流域に、あの28年災害と同じくらいの大雨が降りました。しかし、この時すでに、松原・下筌ダムがかんせいしていたので、被害を最小限にくい止めることができました。
※しん水-家が水につかって水びたしになること
大雨で水の量が増えた川は、 岸をけずったり、堤防をこわすことも。そこで、岸がこわれないように、がんじょうにします。最近では、川の生き物や岸辺の植物などに影響が出ないような、自然にやさしい護岸づくりもすすめられています。
たくさんの水が川からあふれるのを防ぐために、堤防をつくったり、今ある堤防をより高く、より強くしたりします。また、川幅がせまいところは、水があふれやすいので、堤防をうしろに下げ、、川幅を広くし、流せる水の量を増やす引堤(ひきてい)などの工事も行われています。
川の水の量が増えると、水が逆流して小さな支川に流れ込み、外へあふれることがあります。それを防ぐのが水門の役目です。また、川より低い土地に川の水が流れ込んだら、水がたまり、家や田んぼが水につかってしまいます。排水機場は、ポンプなどを使って、たまった水を処理する働きをします。